教室キルンの故障<FTHのメッセージ>
このところ連日焼成していた深胴タイプのほうが故障しました。
コントローラーのメッセージは
「FTH」。"Fail To Heat"、加熱に失敗してるサインです。これはコントローラーが温度を上げようとしてるのに、実際の炉内温度がその通りに上がってこないときに起きるエラーです。
原因はいろいろあるのですが、多いのはリレーの故障です。(後述しますがこの連日の暑さのせいではないようです)
通常のパラゴンの窯では、スイッチを入れるとカチカチというリレーの動作音がするほか、「ジー」とか「ブーン」とか音がします。これは、電熱線のコイルが磁性を帯びて震えて鳴る現象で、電熱線に電気が流れている証拠の音です。温度が高くなると鳴らなくなります。
この音がしない場合、リレーから電力が行っていないか、電熱線が切れているということです。
いままでに通常の使用で電熱線が切れたことは記憶がありません。ので、おそらくリレーであろうということで、
これが交換用のリレーです。
P&B社のタブ型、国内では手に入れにくいのでパラゴンから取り寄せています。
これを交換して、無事に焼成が始められました。
リレーの交換は、慣れた方ならご自身で20分もあれば可能です。交換パーツとして販売もしていますので、ご入り用の際はメールなどで在庫をお問い合わせください。
しかし、ボックスの中はけっこう線が複雑だったり、ラグ端子が緩んでいて付け直しが必要だったりと、予想外の作業も発生いたします。
輸入物の電気炉の故障の時は、パラゴンに限らずどのメーカーでもご遠慮なく当社までご相談くだされば、可能な限り出張修理等も承ります。
ちなみに、このタイプのリレーは、暑さのせいで故障するということはあまりなくて、単純に機械的寿命が限界に来たということだと思います。
余談になりますが、作動音のしないタイプのリレー(SSR)は、半導体ですので通常使用では高い耐久性を持ちますが、設置場所の暑さが限界に来ると新品でも故障します。
SSRの故障時は導通状態で故障しますので、コントロールがきかないいわゆる「暴走状態」となります。このタイプの窯を真夏に外置きで焼成する場合は設置場所の周囲温度には十分気をつけて、窯から目を離さない注意が必要です。(パラゴンではSSRタイプの窯は生産しておりません)
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