アメリカガラスメーカーの動向について
すでに各方面で話題になっておりますのでご存じの方も多いと思いますが、アメリカのガラスメーカーの一部についてこの数ヶ月にあまりにたくさんの事柄が並行して起こりましたので、現在までの状況を項目整理してお伝えしたいと思います。
1)【ブルズアイとウロボロスの一部ガラスの生産休止について】
オレゴン州ポートランド市において、この2月に規制基準値以上のヒ素が検出された件に端を発し、同市のガラスメーカー2社(ブルズアイとウロボロス)が大規模工場と同じような排気フィルターの設置を義務づけられる事態となりました。
そのため、両社はフィルター設置が完了するまで、指定された素材を使う色ガラスの生産を中止しています。対象になっている金属はカドミウム、ヒ素、クロムの3種でこれらは赤黄色系、緑系、白系の一部に使われています。
これらの色ガラスはフィルター設置後に生産が再開される見通しで、ブルズアイ社では9月、ウロボロス社では年内の設置完了後の再開を見込んでいます。
2)【スペクトラム社の廃業(生産中止)について】
5月中旬、ワシントン州シアトル郊外のウッディンビル市にある、世界で最大級の色板ガラスメーカーであるスペクトラム社の廃業が発表されました。これは前述の環境規制には直接関係なく、主な閉鎖理由は財務状況の悪化によるものだとの発表です。スペクトラム社は、今後7月頃まで操業を続けて既注文分を生産し、その後は在庫処分に入るとのことです。
現在の所、会社全体を引き継ぐ(買い取る)者が現れたとの報告はなく、スペクトラム社の板ガラス製法は特殊だったため、同様のテクスチャーや流れのある板を代替生産するメーカーが現れるとは考えづらいところです。
同社が生産していたシステム96の板ガラスについては、共同生産をしていたウロボロス社が全面的に引き継ぐ考えを表明していますが、従来のスペクトラム製独自の流れやフラットさを再現することは考えていないようです。
なお、ナギットと呼ばれるホットワーク向けのシステム96のカレットについては、スペクトラムでの生産期間が9月まで延長される他、ホットワーク系の米国業者が代替又はライセンス生産を模索しているようです。
ステンドグラス用板についての情報は今のところありません。
3)【ブルズアイ社の生産休止追加について】
スペクトラム社の廃業発表があった翌週の5月19日、順調にフィルター設置を進めていたブルズアイ社に対して、突然オレゴン州知事から10日間の着色金属のほぼ全面的使用中止命令が出されました。
この命令にはいままで規制されていなかった着色材まで含まれることとなり、規制当局(DEQ)とミーティングを重ねて協調体制を取ってきたブルズアイ社にとっては、まさに裏切り的な規制の拡大解釈ともいえるものです。
この命令は、科学的根拠のない知事の過剰反応により下されたものであり、さらに悪いことに知事自身の判断で延長が可能なものです。
この命令にはブルズアイ社の80%ものガラスの生産停止が含まれることになり、フィルターの設置が完了して汚染金属が排出されないことが確認されるまで、ほとんどの色ガラスは生産できないことになります。
いまのところ、全世界的にガラスアーティストたちからの反対意見が挙がっていますが、行政当局は命令を撤回するには至っていません。この使用中止命令は5月29日まで続きますが、前述のように延長される可能性があります。
なお、この命令はブルズアイ社に対して出されたものであり、ウロボロス社が対象になっているという情報は現在の所ありません。
以上の状況から、年内以降のガラスの入荷状況については一部予測が出来ずに不透明となっています。
当社と致しましては、複数のルートを使用して在庫の確保に努めますが、一部納期や価格に影響する場合がございます。関係者にはご理解を賜りますようお願い申し上げます。
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